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掲載日:2012年11月18日

お題

不幸な動物を減らしたい

島田弘美さん 開催日 : 2012年8月18日
会 場 : 生活クラブ本部談話室
話し手 : 島田弘美さん(生活クラブ浦和西支部組合員)

目次

1.はじめに

動物愛護に関心を持つきっかけは、5年前に、私の実家が千葉の幕張なんですが、母の還暦に妹が犬をプレゼントしたんです。やはり、現状を知らないので、ペットショップで買ってきたんですけど、飼い始めて一緒に生活するうちに、食事、排泄、感情など人間と同じだとわかりました。

そんな時に葦浦安の駅前で動物愛護のボランティアが、保健所の殺処分をやめるパネル展をしていて、その悲惨さと処分数の多さに大変ショックを受けました。動物愛護センターでの犬の写真が衝撃的でした。

それが3年前でしたが、先日ボランティアに参加させてもらいました。 (高砂小学校で、里親の会をやっていて参加したことがある。生きているワンちゃんだったら何にも思わないだろうけど、処分後の写真はすごくショックです。)

保健所に連れてこられた犬、猫は5日間保留され、1日づつ檻を移動させられ、最後は15分くらい苦しんで窒息死させられます。その数は年間30万頭。1日1000頭。保健所だけでこれだけの数で、ヤミの数を入れると倍以上と言われています。

ペットブームの裏側で商品化された犬、猫たちが人間の都合でいいように扱われていることを知り、自分の犬だけが幸せであればいい、とは思えなくなりました。

ドイツでは殺処分ゼロ(すばらしいね。無駄に増やさないんですね。)。日本はいいブリーダーと悪いブリーダーがいるようです。血統書付きの犬を何度も生ませ、生めなくなったら保健所に持ち込んでしまう。

私は猫を飼ったことがないのでよくわかりませんが、犬は空気を読み、人間の感情も伝わるし、時に傷ついた心を癒してくれる生き物です。動物愛護の団体もいろいろありますが、里親の会だけではなく、マルコ・ブルーノさん曰く、ペット問題は穴のあいたバケツで水を汲み出すような終わりなき戦いであり、動物を守る法律が必要と言っている主張に賛同して、氏の運営する会に入りました。

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2.動物たちの現状

「犬を殺すのは誰か」太田 匡彦著

本の抜粋を読ませてもらいます。「犬を殺すのは誰か」。(太田 匡彦著 朝日新聞出版)アエラの記者です。30代半ばの方です。(若い人が情報発信するのは良いことですね)。(朗読3分くらい)

犬が年間8万頭、猫はもっと多いようです。こういうことは私も30歳まで知りませんでした。(何とかしたいですね)。

去年さいたま市の愛護センターは桜区役所にありますが、2,3度見学に行きました。そこは50m四方くらいの庭もあって、散歩をさせたり、譲渡用の犬は1匹づつの犬舎にいます。(欲しい人にあげるんですね。私はそこからもらい受けようとしたんですが、子供がまだ大きくなくて、アレルギーもあったりで、親がどんな犬だったのか(身元がはっきりしているのか)、病気があるのか、どのくらいの大きさになるのか、などについてわからないことがあるので、家族に反対され、結局ペットショップでミニチュアダックスを買いました。でもこういうことを知るたび心にぐさっと来ます)。

飼い犬の6割くらいはペットショップで買われるようですね。(一所懸命里親の会を探していたんですが、もともと愛玩犬って好きじゃなかったんです。私は千葉の野田出身ですが、父が犬好きで秋田犬を飼っていました。大きめの犬でしたので、私も飼うなら柴とか普通の日本犬が良かったんです。でもこのあたりだと外で飼うとちょっと吠えてもご近所迷惑になる、番犬が吠えてるのに、人間の都合で叱ったら犬もかわいそうだし、結局室内で飼える犬になりました。めずらしいクリーム色で、買った時は250gで40日齢です。息子の誕生日のお祝いです。中学1,2年生でした。それまでは熱帯魚を買っていましたが、魚は触れないので、子供は触れるペットが欲しかったようです。)

うちの犬も5歳になりますが、2歳くらいから他の犬とじゃれ合わなくなりました。他の犬とは接してはいましたが。海外には8週齢規制というのがあって、8週齢になってから親から離してください、という規則です。それまでは親兄弟と一緒にいないと、将来問題行動を起こすと言われています。その中で社会性を学ぶんですね。そこがないと噛んだり、吠えたりするそうです。そうするとこの犬は問題だからと保健所に持っていってしまう人が増えてしまいます。

動物愛護法 ( 動物の愛護及び管理に関する法律 )というのがあって、マルコ・ブルーノさんはあまり意味のない法律と言ってますが、動物を守るというより、人間を守る法律みたいです。5年に1回改正の時期があり、今年は改正の時期で、いろんな団体が8週齢規定を入れようとしましたが、ペットショップ側が売り時期を逃すということで、国会で審議中です。

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3.ヨーロッパでは子供が生まれたら犬を飼いなさいという風習があるようで

アニマルサポートメイツの野田さんは、6月19日に国会前に300くらいの団体が集まった集会に行かれて、実験動物はまた別ということを聞いて、そんなのおかしいと抗議していたということです。

ヨーロッパでは子供が生まれたら犬を飼いなさいという風習があるようで、多感な時期に動物が良き友となって、犬の寿命が人間より短いから、自分の死を持って命の尊さ、死の悲しみを教えてくれます。(毛が抜けたりするのが、子供のぜんそくを招いたり)。でもある団体の報告ですと、子供が動物と一緒にいると、アレルギーになり難いそうです。実際ニュースで知ったんですが、牧場の子供にはアレルギーが少ないということです。逆にアレルギーの子が牧場に泊まり込んでアレルギーを治す、と言うのを聞いたことがあります。

(近所で犬を散歩させている人が、小さい子が犬に触ろうとすると犬がうなったりすると、飼い主が「ダメ」といっているのをよく見かけます)。うちの犬もそういうのはいやがってます。(うちは恐がりで、そういう子供が来ると私の後ろに隠れてしまいます。子供には、ごめんね、恐がりだからダメなのよ、と言っていますが。恐がりの犬は怖くて吠えたり、噛んだりします。自分のテリトリーに入ってこられるのをとても警戒します。)。

(そんなにかわいい子たちなのになぜ殺処分が行われなければならないんでしょう)。日本はペットショップでの衝動買い、犬種の流行に左右されたり(チワワ、ハスキーなど)、犬種で大きさや性格も違うのに、その辺を考慮せず買ってしまう。 20年前からペットオークションが行われています。流通システムがビジネスになってしまっています。ブリーダーは生後40日くらいで、子犬をオークション市場に出して、ペットショップが競り落とします。

(ブリーダーは動物をしつける人っていうイメージだったんだけど、違うんだ)。さきほどの本のブリーダーのここでの意味は「生産者」です。(大会で賞を取った犬同士を掛け合わせるとかしている人。犬のしつけはまた別の人がするのでは。)しつけは1歳までがチャンスです。

東京、大阪などの大都市では深夜まで営業のペットショップがあり、生き物でなく、モノ扱いをしています。18歳以上だったらローンでも買えます。(夜のお仕事の人がそういう店で買うことが話題になったことがありました。そういう人へのプレゼントで買う人とかもいるらしい。夜の仕事から帰った時の癒しでしょうかね)。夜行性でない犬にとっては大変なストレスです。

ペットショップの売れ残り、皮膚病や店員が誤って骨折させたペットなどを保健所に持ち込むことも多いです。保健所に持っていくと捨てる理由など書くようなんですが、怪しいのが結構あるようです。

ペットオークションに持ち込まれる犬は平均45日齢だそうで、8週規制(56日齢)を守っていません。(2歳で人間の二十歳くらいとか、7掛けるくらいの年といいますね。8周規制は、人間の三つ子の魂百までと一緒ね。56日の間にお母さん犬からいろんなことを教わる時期です。それを短縮すると自分を犬と思っていない犬ができる)。

こういうことって明るみに出ないんですね。テレビで芸能人が子犬を「かわいい」とかいう番組はありますが、現実は違うんですね。

動物愛護法は1972年にできたようで、うわさではその時エリザベス女王が日本に来るというので、動物愛護の先進国であるイギリスにあわせてあわてて作ったというのをマルコ氏は信じています。

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4.他国との比較

お話中の島田弘美さん

ドイツの常識、日本の非常識と言いますが、「旅の力」という番組で浅田美代子がドイツのティアハイム・ベルリンに滞在する番組がありました。ティアハイムはドイツ全体で500ヶ所あるという犬の保護施設です。それは1901年設立で、捨てられた犬を手厚く保護しています。ドッグランや暖房付き個室もあります。新たな飼い主に出会えるまで、無期限で保護しています。新たな飼い主には、どのような状態で飼うのか、細かい質問が沢山用意されています。そして1,2ヶ月後職員が突然訪問して、犬の飼われ方が申告通りであるか点検します。

ヨーロッパの人から見れば、日本のように鎖でつながれているだけでもう虐待のようです。ペットOKのレストランも半分くらいあるそうです。電車も子供料金で乗れます。(日本だと犬はモノですね。保護された犬は拾得物です)。モノでも数ヶ月保管しますが、自治体によって違いますが犬は5日間で保健所で殺されます。迷子になったら飼い主は必死に探し回らなければなりません。

あと犬にはマイクロチップが入れられているので、飼い主の情報がすぐ読みとられます。日本でもやっている人はいます。 ドイツでは犬に税金が掛けられて、年間およそ1万5千円です。そして2002年の憲法改正で犬の保護がうたわれています。この税金は地域の犬が爆発的に増えないようにコントロールすることに使われます。犬の避妊に使われているようです。

【 追記 】 ドイツにはペットショップ(生体販売)がなく、犬をほしい人はティアハイムを訪れます。ペットショップがない理由は、この国の動物を守るための実効性のある法律通りにするには、経営が成り立たないみたいです。

ドイツの動物に対する態度は、政治家が偉いのではなく、国民の意識が高いからみたいです。(日本はかわいいから飼う、さびしいから欲しいから飼う、というレベルです)。ヨーロッパももちろんそういうことはあるでしょうけど、大事なパートナーとして、見かけだけでなく家族の一員として対応しています。

千葉にドイツ村という施設がありますが、ドッグラン以外には犬を連れて歩くことは禁止されています。理由は犬を嫌いな人もいるからということです。

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