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掲載日:2023年8月11日

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講座の記録

講座名:食と環境カレッジ2023 【全5回】
ハイブリット講演会(オンライン & 会場)

第2回 日本の食と農業  ~現状と課題、そしてこれから~
講師:榊田 みどり さん (農業ジャーナリスト)
開催日:2023年7月18日 (火)
講座の一コマ

第1回の中田哲也さんによるフードマイレージの講座に続き、あらためて、減り続ける農業従事者数と進む高齢化、農業者の約7割が「後継者なし」という現状をふまえ、実際に取材した地域の状況や、取り組みなどを伺った。

見えてきたのは、消費者として「食べ支える」だけでは、農業は維持できない状況になりつつあり、これからは、まさに「生産」する消費者運動が必要になる、ということ。首都圏の食料自給率は、カロリーベースで東京0、神奈川2、埼玉10となっており、この数字を見ても、私たちができることを考え行動しなくてはならない。食べ手も耕す、農家を手伝うなど「耕す市民」になること、「地縁」「知縁」でつながることなど、食の安全保障を自分たちで作ることが求められている。

日本の各地域で見られる多様な担い手確保の動きは、島根県「半農半X」支援長野県「長野県農ある暮らし」相談センター神戸市マイクロファーマーズスクールなど。さらに、地域住民や企業と連携、公務員副業など、農とかかわる人材確保の仕組みや受け皿を作れば、農的人材はもっといるはず!

具体的に「耕す市民」を育てるために、神奈川県JAはだのの「小さな農の担い手」育成や福岡県糸島市の農サポーターやセミプロ・サポーター育成などがあちこちで生まれている。また、生協による農園開設、農業参画も増えているとわかり、少し明るい気持ちになった。農業ジャーナリストの大野和興さん曰く、「自作農解体の時代」だそうだ。いったいどうなっていくのだろう?

大規模で少数の農業経営者が残っても、労働力問題をかかえている。一方で「そうではない農業を支えたい」という人々には、「知縁」で家族農業を支える提携や、スモールファーマー(耕す市民)という選択肢もあるとのこと。私たちも、体を動かしてプランターや庭、空き地の活用など、できるかたちで「耕す市民」への一歩を踏み出したいと思う。そのことは、たとえ小さな一歩でも地域の環境を守り、自分たち自身を守ることにつながる。

報告 :吉田
本講座チラシ