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掲載日:2023年8月29日

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講座の記録

講座名:オンライン講座
暮らしの中の農薬を学ぶ 何気なく使っている防虫剤や殺虫剤は大丈夫?
講師:安田 節子 さん(食政策センター・ビジョン 21 代表)
開催日:2023年8月22日(火)

講師の安田節子さんから、日本がダントツの農薬使用大国であり、その問題点について詳しく説明していただきました。

2021年に行った日本の赤ちゃん約1,000人のオムツ(尿)調査の結果では、高率にネオニコチノイド系農薬が検出され、母子間での日常的な農薬移行の実態が明らかになった。日本人の成人や子どもの尿から有機リン系、ピレスロイド系も、検査したほぼ全例に検出されている。2015年以降に国がネオニコチノイドの農薬残留基準を緩和した食品だけでなく、日本中の河川や水道水から当たり前に農薬が検出され深刻な問題になっている。

日本で使用量の多い有機リン系、ネオニコチノイド系はともに神経毒性農薬で、低濃度の慢性的摂取で神経系の障害が起こっている。とりわけ成長過程にある子どもの脳の発達への影響が懸念され、農薬が胎盤を通して胎児に高率に移動していることも判明している。

街路樹の立ち枯れが全国ニュースで話題になっている除草剤成分のグリホサートについてもお話があった。

商品説明には「土壌微生物により分解され、土に残らず土壌をいためません」と表示されているが、グリホサートが主成分の「ラウンドアップ」が安全性に関する虚偽広告であるとしてフランスやニューヨーク州では判決が出ていて、EUやアメリカでは家庭用には販売しない方向に動いているが、日本ではホームセンターなどで大量に販売されている。グリホサートが腸内細菌叢の異常を引き起こし、脳や精神にも悪影響を与えていて、ひ孫世代にも影響があるとする研究結果がある。

農薬は食べものと一緒に口から摂取するよりも吸入する方が毒性は高く、室内で殺虫剤や衣料用防虫剤を使用することは、室内汚染につながることになるので、樟脳などの安全な衣料用防虫剤を使用することをすすめる。ダニ・ゴキブリ用の燻煙剤、ハエ・蚊用のスプレー剤や蚊取り器(一日つけっぱなし)なども注意が必要。ガーデニング用の家庭用農薬も家庭用だからといって安全ではない。ペットのノミ取りや防虫畳なども要注意。身の回りから農薬のない暮らしをめざしましょうと締めくくられた。

メーカーやお店に、わたしたち消費者の声を直接届けることは大事とのお話が印象に残りました。

                    
講師プロフィール
食政策センター・ビジョン 21 主宰
日本消費者連盟で、反原発運動、食の安全と食糧農業問題を担当。市民団体「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」元事務局長。表示や規制を求める全国運動を展開した。2000 年 11 月「食政策センター・ビジョン 21」設立 現在に至る。著書に、『食卓の危機 遺伝子組み換え食品と農薬汚染』(三和書籍)、『食べものが劣化する日本』(食べもの通信社)他

報告 : きくいち 
本講座チラシ PDF 290KB)